改訂新版 世界大百科事典 「アズキゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
アズキゾウムシ
Callosobruchus chinensis
甲虫目マメゾウムシ科の昆虫で,貯蔵アズキの害虫として有名。別名アズキマメゾウムシ。体の背面は通常赤褐色であるが,頭頂,上翅の基部と中央部,末端部が黒化する個体が多い。また全体が黒化するものもある。胸部の背面の基部中央には白色毛からなる縦の斑紋があり,上翅にも白色毛からなる斑紋がある。雄の触角は櫛(くし)状,雌ではのこぎり状。体長約2.5mm。世界の温帯から熱帯にかけて広く分布し,日本では北海道を除く本州以南に分布する。栽培されているアズキやササゲのさやに点々と産卵,孵化(ふか)した幼虫はさやから豆の中へ潜り込む。幼虫は3回脱皮してさなぎとなるが,卵から成虫までの期間は25℃で約1ヵ月。適温であれば1年間に数世代を繰り返すことができる。出現した成虫は貯蔵されている豆の表面に点々と産卵し,被害を増大させる。1匹の雌は1週間で約60個を産卵。成虫の寿命は25℃では10~17日間くらい。幼虫で越冬する。本種は飼育が容易で,生態学や生理学の実験に用いられる。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報