アメンヘテプ(読み)あめんへてぷ(その他表記)Amenhetep Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメンヘテプ」の意味・わかりやすい解説

アメンヘテプ(3世)
あめんへてぷ
Amenhetep Ⅲ

生没年不詳。古代エジプト第18王朝9代目の王(在位前1417~前1379)。トゥトメス4世とその妃ムテムイアとの間に生まれた。ムテムイアはメソポタミアの大国ミタンニ王女で、両国の同盟関係強化のためにこの結婚が行われた。アメンヘテプ3世も同じミタンニから2人の王女を迎えた。ただし側室としてであった。正妃はエジプト人でティイという。彼の治世は戦争のほとんどない時代であり、文化の時代となった。文芸と学問の人である書記が際だって尊重され、高官は競って自らの彫像を書記姿でつくらせた。王は各地に神殿と記念物を豪華に建て、王の彫像をそこに飾った。いまもテーベ西岸に立つ「メムノン巨像」は王の像であり、台座を含めて高さ18メートルに達する。王はまた、アメン神を頂点とする伝統的な多神教を奉じつつも、アトン神にも関心を抱き、王の船の一つに「アトンの輝き」という名を与えた。晩年は王子アメンヘテプ4世(イクナートン)と共同統治した。

[酒井傳六]



アメンヘテプ(4世)
あめんへてぷ

イクナートン

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百科事典マイペディア 「アメンヘテプ」の意味・わかりやすい解説

アメンヘテプ[3世]【アメンヘテプ】

エジプト第18王朝の王(在位前1402年ころ―前1364年ころ)。トトメス4世とミタンニ王女の子。エジプト帝国繁栄の絶頂即位アマルナ文書に見えるように,エジプトを軸とする西アジアの国際平和を維持するとともに,カルナックルクソルに大造営事業を行う。〈メムノンの巨像〉は彼の座像。次王アメンヘテプ4世(イクナートン)の改革に道を開いた。
→関連項目アマルナ時代ルクソル神殿

アメンヘテプ[4世]【アメンヘテプ】

イクナートン

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世界大百科事典(旧版)内のアメンヘテプの言及

【イクナートン】より

…アクナトン,アケナーテンともいう。第9代アメンヘテプ3世と皇后ティイの子。皇后はネフェルティティ。…

【エジプト】より

…交易圏はエーゲ諸島からアラビアに及び臣属国の貢租や戦利品を含めた膨大な富が王の宝庫に流入,カルナック神殿はじめ豪壮な建築にあてられた。トトメス4世Thotmes IVのミタンニとの同盟とミタンニ王女の後宮入りにより支配体制はいっそう固まり,アメンヘテプ3世(在位,前14世紀前半)の下で頂点に達する。当時のエジプトを軸とするオリエント世界の外交関係の史料が,楔形文字で記された〈アマルナ文書〉である。…

※「アメンヘテプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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