アトン(読み)あとん(英語表記)Aton

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトン」の意味・わかりやすい解説

アトン
Aton

エジプト神話の太陽神。アトンという名は太陽の円盤を意味する。エジプト第 18王朝のアメンホテプ4世 (→イクナートン ) は世界最古の宗教改革者として従来のアモン信仰を捨て,アトン宗教のみを公式の宗教として認めた。王はみずからアメノフィス (「アモンは満足する」の意) の名をイクナートン (アトンの栄光) に改名し,テーベを捨て,中部エジプトのイクフータトン (アトンの地平線) ,現在のテルエル・アマルナ新都を建設し,またヌビアヒゲム・アトン市をつくった。しかし,このアトン信仰は王の死後まもなく衰えた。アトンは,エジプトの光輝万物の創造と生育,四季の交替,王者の権威を与えるといわれたが,その姿は,常に赤い巨大な日輪でのみ表現された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトン」の意味・わかりやすい解説

アトン
あとん
Aton

古代エジプトの神。「太陽円盤」を意味し、同時に太陽神として、ラー神と同一視された。アトン崇拝の起源はかなり古いと思われるが、新王国時代前期にはアモン崇拝が盛んになり、アモン神官の勢力が強大になった。アメンヘテプ4世(前14世紀)は都をテーベ北方、今日のエル・アマルナに移し、アトン崇拝を再興して自己の名もイク・ン・アトン(イクナートン。「アトンの輝き」の意)と称した。この王がアトン(しばしば太陽円盤から多数の手が差し出されている形で表された)を礼拝している浮彫り類が残されている。しかしこの王の没後、またもアモン信仰が再燃し、アトン崇拝は衰微した。

矢島文夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ぐんまちゃん

群馬県のマスコットキャラクター。人間だと7歳ぐらいのポニーとの設定。1994年の第3回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック群馬大会)で「ゆうまちゃん」として誕生。2008年にぐんまちゃんに改名...

ぐんまちゃんの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android