アメンヘテプ3世(英語表記)Amenhetep Ⅲ

改訂新版 世界大百科事典 「アメンヘテプ3世」の意味・わかりやすい解説

アメンヘテプ[3世]
Amenhetep Ⅲ

古代エジプト第18王朝9代目の王。在位,前1402年ころ-前1364年ころ。王の治世はトトメス3世が建設したシリア,パレスティナ,ヌビアの植民地支配を軸とする〈帝国〉支配体制の絶頂期にあたる。バビロニア王国やミタンニ王国とは王女との結婚を通じて同盟関係を強化,豊富に産するヌビア黄金の贈与によって,ヒッタイト王国やアッシリアを含めてエジプトを軸とする西アジア世界の国際平和を実現,その状況はアマルナ文書に詳しい。贈物,貢納,交易によって諸国の富が大量にエジプトに流入,豪奢な宮廷生活と大規模な建築活動にむけられる。代表的な建築にルクソル神殿,〈メムノンの巨像〉のみ現存する葬祭殿,マルカタ宮殿がある。王族でないティイTiyの皇后冊立など専制君主的傾向を強め,アテン信仰の育成とともにイクナートンの〈宗教改革〉の道を開く。治世末年にはヒッタイトの進出によりアジアの植民地支配体制も揺らぎはじめる。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アメンヘテプ3世」の解説

アメンヘテプ3世(アメンヘテプさんせい)
Amenhetep Ⅲ

(在位前1388頃~前1350頃)

エジプト第18王朝の王,最盛期の専制君主。首都テーベをはじめ各地で大建築事業を行った。彼の像とされるメムノンの巨像は,今も残存する。その子アメンヘテプ4世時代アマルナ革命が起こったが,宗教面でも美術面でも,その萌芽はすでにアメンヘテプ3世の治世中に認められる。

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世界大百科事典(旧版)内のアメンヘテプ3世の言及

【アマルナ時代】より

…古代エジプト第18王朝の宗教改革王イクナートン(在位,前1364ころ‐前1347ころ)の新都アケトアテンの現在名にちなんでつけられた時代。アマルナに都のおかれたイクナートンの治世および改革の萌芽のみられる先王アメンヘテプ3世の治世後半をさし,時には次王ツタンカーメン王の治世を含めることもある。また古代オリエント史上においては,アマルナ出土の楔形文字文書(アマルナ文書)によってエジプト支配下のシリア,パレスティナをめぐるオリエント諸国の国際関係を研究できる前14世紀前半から中葉にかけての時代をさす。…

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