イギリス映画。1962年作品。デビッド・リーン監督。第一次世界大戦時、アラブ諸民族を指揮しトルコ占領軍を打ち破るという英雄的偉業を達成しながら、混乱する情勢に翻弄(ほんろう)されて失意のうちに帰国するイギリスの戦術家トーマス・エドワード・ロレンス(ローレンス)の後半生を70ミリの大画面に描く一大叙事詩。ロレンスの著書『知恵の七柱(ななはしら)』を劇作家ロバート・ボルトとマイケル・ウィルソンMichael Wilson(1914―1978)が脚色、抜擢(ばってき)された舞台俳優ピーター・オトゥールがロレンスの複雑な人間像を繊細に演じあげた。砂漠の景観を圧倒的な映像美でとらえたフレディ・ヤングFreddie Young(1902―1998)の撮影、雄大かつ流麗なモーリス・ジャールMaurice Jarre(1924―2009)の音楽などと相まって、1950年代なかばから流行した大型映画の一つの到達点を示した。作品、監督、色彩撮影、音楽をはじめ7部門でアカデミー賞を受賞。
[宮本高晴]
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… ディケンズの小説を映画化した《大いなる遺産》(1946),《オリバー・トウィスト/放浪の孤児》(1948)がそれに続き,戦後のイギリス映画のルネサンスを築く。ディケンズものとノエル・カワードの小市民喜劇を合わせたといえる《ホブスンの婿選び》(1954),《逢びき》の延長線上に生まれた恋愛映画の名作《旅情》(1955)をへて,ハリウッドのプロデューサー,サム・スピーゲルの製作による《戦場にかける橋》(1957)と《アラビアのロレンス》(1962)でアカデミー監督賞を連続受賞し,国際的な大監督の座についた。《アラビアのロレンス》から《ドクトル・ジバゴ》(1965),《ライアンの娘》(1970)と70ミリの大画面を駆使した文芸色豊かなメロドラマで興行価値100パーセントの巨匠となり,とくに《ライアンの娘》は,70ミリのカメラで撮影された〈真の70ミリ映画〉の最後の作品といわれる。…
…イギリスの探検家,考古学者,軍人。通称〈アラビアのロレンス〉で有名。オックスフォード大学で考古学を学び,ことに中近東に関心をもち,1910‐14年大英博物館の中東遺跡発掘調査に参加。…
※「アラビアのロレンス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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