オトゥール(その他表記)O'Toole, Peter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オトゥール」の意味・わかりやすい解説

オトゥール
O'Toole, Peter

[生]1932.8.2. アイルランド,コネマラ
[没]2013.12.14. イギリス,ロンドン
アイルランドの俳優。フルネーム Peter Seamus O'Toole。ロンドンのロイヤル演劇アカデミーで学び,1956年にジョージ・バーナード・ショーの『バーバラ少佐』Major Barbaraでロンドンの舞台にデビュー。1960年にシェークスピア記念劇場に出演し,『ベニスの商人』The Merchant of Veniceのシャイロック,『じゃじゃ馬ならし』The Taming of the Shrewのペトルーチオ役で高く評価され,1963年にロンドン国立劇場のこけら落とし公演で『ハムレット』Hamletの主役を演じた。初の主演映画となったデービッド・リーン監督の大作アラビアロレンス』Lawrence of Arabia(1962)のトマス・エドワード・ロレンス役で国際的に評価され,アカデミー賞主演男優賞候補となった。その後,『ベケット』Becket(1964)と『冬のライオン』The Lion in Winter(1968)で演じたイングランド王ヘンリー2世役,『チップス先生さようなら』Goodbye, Mr. Chips(1969)の教師役,『スタントマン』The Stunt Man(1980)の映画監督役,『ヴィーナスVenus(2006)の老優役などで 8回もアカデミー賞主演男優賞候補になった。2003年にアカデミー賞名誉賞受賞。

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百科事典マイペディア 「オトゥール」の意味・わかりやすい解説

オトゥール

アイルランドの俳優。アイルランドのゴールウェイ州出身。アマチュア劇団で舞台に出演していたが,奨学金を得てロンドンの王立演劇学校に学ぶ。舞台俳優としても,多くのシェークスピア劇で主役を演じたが,1962年,デビット・リーン監督によって《アラビアのロレンス》の主演に抜擢された。デビット・リーン演出とロバート・ボルト脚本が描くT.E.ロレンスの複雑な性格を見事に演じきり,アカデミー主演男優賞にノミネートされて,一躍世界的なスターとなった。その後《ベケット》(ピーター・グレンヴィル監督,1964年)でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を獲得し演技派としての地位を確固としたものにし,以後《冬のライオン》(アンソニー・ハーヴェイ監督,1968年),《チップス先生さようなら》(ハーバート・ロス監督,1969年)などすぐれた作品に出演した。しかしアカデミー賞は8回ノミネートされながら一度も受賞していない。舞台でも1963年のローレンス・オリビエ演出《ハムレット》をはじめ,1990年代まで数々の名演を見せた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オトゥール」の意味・わかりやすい解説

オトゥール
おとぅーる
Peter O'Toole
(1932―2013)

イギリスの俳優。アイルランドに生まれる。ロンドンの王立演劇学校に学び、オールド・ビック(ロイヤル・ビクトリア劇場)で幅広い分野をこなす舞台俳優として活躍した。映画『アラビアのロレンス』(1962)に主演して一躍国際的名声を得、その後『ベケット』(1963)、『冬のライオン』(1968)、『チップス先生さようなら』(1969)、『ラ・マンチャの男』(1972)、『カリギュラ』(1980)、『ラストエンペラー』(1987)、『プランケット城への招待状』(1988)などに出演した。舞台ではトップ・クラスの名優として知られ、『ベニス商人』『ハムレット』などの演技が評判をよび、シェークスピア劇を得意とする。

[日野康一]

『林冬子編『ピーター・オトゥール 孤独と挫折をのりこえて』(1984・芳賀書店)』

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