アンソニー(読み)あんそにー(英語表記)Susan Brownell Anthony

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンソニー」の意味・わかりやすい解説

アンソニー
あんそにー
Susan Brownell Anthony
(1820―1906)

アメリカの女性参政権運動の指導者。2月15日マサチューセッツ州生まれ。クェーカー教徒で禁酒運動、奴隷制廃止運動を支持する父の影響下に育った。教職についた後、禁酒運動を経て、1851年女性参政権運動に入った。女性参政権運動では、憲法修正による女性参政権(別名アンソニーの修正。1920年成立)の獲得を目標とし、女性の経済的自立など広範な女性解放の問題にも尽力した。1872年には現行憲法下でも女性参政権が保障されていると主張し、法律上は参政権のないまま投票を決行、逮捕された。組織力、実行力に優れた実務家肌のアンソニーは、理論家のスタントンとともに運動の両輪となった。生涯独身で通し、女性参政権運動に身をささげ、1979年彼女の肖像はアメリカで女性として初めて貨幣に採用された。3月13日没。

[有賀夏紀]

 女性参政権を認めた憲法修正第19条が成立してから100年の節目にあたる2020年、大統領トランプにより恩赦が与えられたが、恩赦を受けるのは罪を認めることになるとして撤回を求める声も寄せられた。

[編集部 2022年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンソニー」の意味・わかりやすい解説

アンソニー
Anthony, Susan B.

[生]1820.2.15. マサチューセッツ,アダムズ
[没]1906.3.13. ニューヨーク,ロチェスター
アメリカ合衆国の女性社会改革運動家。フルネーム Susan Brownell Anthony。女性および黒人参政権を主張し,女性の参政権を認めるアメリカ合衆国憲法修正第19条の成立への道を開いた。熱心なクェーカー教徒の家に育つ。父の設立した学校に通ったのち,1839年からクェーカー神学校に勤務。1846~49年,ニューヨークの女子学校で教鞭をとった。1856年からアメリカ反奴隷制協会のニューヨーク支部長を務め,南北戦争終了後は女性参政権運動に尽力。1868年エリザベス・C.スタントンとともに女性の権利を訴える新聞『革命』The Revolutionを創刊し,翌 1869年にはスタントンとともに全国女性参政権協会を設立した。同協会は 1890年アメリカ女性参政権協会と合併して全米女性参政権協会となり,アンソニーは 1892年から 1900年まで会長を務めた。著書にスタントン,マティルダ・J.ゲージとの共著『女性参政権の歴史』History of Woman Suffrage(6巻,1881~1922)などがある。1979年,女性として初めてその肖像が 1ドル硬貨に描かれた。

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