日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルミフリー」の意味・わかりやすい解説
アルミフリー
あるみふりー
食品添加物アルミニウム、およびその化合物を含む原材料を使用していない食品。アルミニウム化合物は、たとえば、一部の菓子パンや蒸し菓子などに用いられる膨張剤(ベーキングパウダーなど)、漬物の色止め剤、魚介類用の形状安定剤、食品着色料などで、食品添加物として幅広く使われている。また、土壌や水、空気などにも存在している成分であるため、穀類や野菜などにも含まれている。人体への深刻な影響はないとされているものの、ラットにアルミニウムを多量投与した実験では、腎臓(じんぞう)や膀胱(ぼうこう)への影響や握力の低下が認められた。
2011~2012年度に、厚生労働省が年代層別にその摂取量を調べたところ、1~6歳児の場合、菓子パンや菓子類、大豆ベースの調整乳などを通じ、ほかの年代層よりも高い割合でアルミニウム化合物を摂取している可能性のあることがわかった。アルミニウム含有量の表示は義務づけられておらず、厚生労働省では使用基準を設ける方針である。菓子パンや製菓、食品添加物メーカーでは、アルミフリーの原材料への切り替えが進められている。
世界保健機関(WHO)などの国際機関では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量を暫定耐容週間摂取量(PTWI:provisional tolerable weekly intake)として、アルミニウムの場合、体重1キログラム当り一週間に2ミリグラムと規定している。
[編集部]