アンダーピニング

改訂新版 世界大百科事典 「アンダーピニング」の意味・わかりやすい解説

アンダーピニング

既設構造物の基礎補強する工事のこと。アンダーピニングunderpinningとは,元来,構造物の支えの意。構造物の建設中あるいは完成後,設計時に考慮した値より構造物の荷重が増加した場合,構造物の施工後に地下の状況が変化して基礎の支持力が不足する場合,既設構造物の下に地下構造物を新たに築造する場合,既設構造物に接近して深い掘削を行う場合など,既設構造物が沈下するおそれがあるときや,既設構造物を高い位置にもち上げるとき,あるいは既設構造物を新たな場所に移動するときなどに実施される。日本では地下鉄工事に伴って行われることが多い。基本的な要領は,既設構造物をかりに支持した後,追加の基礎を挿入,構造物を受けかえるもので,既設構造物に発生する応力や変形量などを予測して必要に応じて構造物の補強を行う。狭い空間での作業で構造物に亀裂や沈下が生じないようにするため,慎重さと熟練が要求される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンダーピニング」の意味・わかりやすい解説

アンダーピニング
under pinning

地下工事を行う際に近接する既存の構造物が沈下や傾斜を起さないよう予防する基礎補強工事をいう。すでに沈下したり傾斜したりした建物を復元する場合や建物を移動させる場合の工事も含む。方法としては構造物の基礎下の土や水を動かさないようにするため,山止め壁の設置,地盤安定工法の採用,別の支持杭を設ける,などがある。アンダーピニングは既設構造物および周囲破壊損害を与えないように施工しなければならず,作業空間が制限され危険かつ困難な作業であるため,一般の基礎工事と比べて工期,工費ともに多大となり,高度の総合的知識および経験が必要とされる。

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