日本大百科全書(ニッポニカ) 「イネドロオイムシ」の意味・わかりやすい解説
イネドロオイムシ
いねどろおいむし / 稲泥負虫
[学] Oulema oryzae
昆虫綱甲虫目ハムシ科に属する昆虫。和名はイネクビボソハムシであるが、幼虫が泥状の糞(ふん)を背中にのせる習性があるので、農業関係ではこの名を用いるほか、単にドロオイムシともいう。日本全土および樺太(からふと)(サハリン)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。体長4~4.5ミリメートルで細形。体は黒色で、前胸と肢(あし)の大半が赤黄色。上ばねは長くて両側がほぼ平行で、青い光沢がある。5月ごろから現れてイネ、マコモ、アシなどイネ科植物を食べ、黒い卵を塊状に産み付けて粘液で覆う。成虫、幼虫とも葉の表面の葉脈の間を縦に線状に食べて白く食痕(しょくこん)を残すが、幼虫のほうが害がひどい。このためイネの害虫として有名である。幼虫で越冬する。
[中根猛彦]