ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブヌル・ハイサム」の意味・わかりやすい解説
イブヌル・ハイサム
Ibn al-Haytham
[没]1038. カイロ
イスラム教徒の数学者,物理学者。ラテン名はアルハゼン Alhazen。ファーティマ朝のハーキムに仕えてナイル川の治水にあたろうとしたが,不可能であることを悟ったと伝えられている。最もよく知られた業績は,初めて正しい視覚理論を与え,視覚は対象物から出た光が目に入ることによって起こると主張したことである。光の反射,屈折,虹,レンズの機能などについても論じた。日没後あるいは日の出前の薄明現象を大気屈折で説明したのは彼であるとされているが,別人の業績であるとの説もある。彼の『光学』は 1270年にラテン語に翻訳され R.ベーコンやウィテロなどに大きな影響を与えた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報