イブンザイドゥーン(英語表記)Ibn Zaydūn

改訂新版 世界大百科事典 「イブンザイドゥーン」の意味・わかりやすい解説

イブン・ザイドゥーン
Ibn Zaydūn
生没年:1003-70

アンダルスの後ウマイヤ朝衰亡ののちの群雄割拠の時代に生まれ,波乱万丈の政治生活を送った詩人。権力者イブン・ジャフワルを助けて宰相となるが,讒言ざんげん)にあって投獄されるなど,なん度も浮沈を経験している。しかしウマイヤ朝カリフの娘で,詩人でもあったワッラーダとの結ばれぬ恋をうたった詩で名声をはせた。格調高い伝統的な詩法は一代を画しているが,東方では詩作品よりも独創性の強い書簡文学で高く評価される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブンザイドゥーン」の意味・わかりやすい解説

イブン・ザイドゥーン
Ibn Zaydūn, Abū al-Walīd

[生]1003. コルドバ
[没]1071. セビリア
スペインのアラブ系詩人。コルドバのウマイヤ朝の滅亡後,スペイン各地を転々とし,最後はセビリアのアッバード`Abbād朝の宮廷で重用された。同朝のコルドバ征服に一役買ったと伝えられている。女流詩人ワッラーダとの恋愛詩が有名。ムワッシャハ体の詩篇をもかなり多くつくり,その本領を示した。またリサーラ (書簡体) の文章に長じ,東方イスラム世界では,その詩よりも高く評価された。

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