浮沈(読み)フチン

デジタル大辞泉 「浮沈」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ちん【浮沈】

[名](スル)
浮いたり沈んだりすること。うきしずみ。
愛欲の海に―しながら」〈倉田出家とその弟子
栄えることと衰えること。うきしずみ。「会社浮沈にかかわる重大事」
[類語]浮き沈み消長起伏栄枯盛衰七転び八起き存亡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浮沈」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ちん【浮沈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 浮いたり沈んだりすること。うきしずみ。
    1. [初出の実例]「海水に浮沈して、神祇身を滌ぐに呈れき」(出典:古事記(712)序)
    2. [その他の文献]〔梁武帝‐逸民詩〕
  3. 栄えることと衰えること。盛衰人生の移り変わり。世の中の変遷。うきしずみ。
    1. [初出の実例]「涯分浮沈更問誰、秋来暗倍客居悲」(出典菅家文草(900頃)三・秋)
    2. 「便宜候はば、当家の浮沈をも試むべし」(出典:平治物語(1220頃か)上)
    3. [その他の文献]〔司馬遷‐報任少卿書〕

うき‐しずみ‥しづみ【浮沈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 浮いたり沈んだりすること。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. 栄えたり衰えたりすること。ふちん。栄枯盛衰。
    1. [初出の実例]「塩ならぬ海にこがれ行く、身を浮舟の浮沈(うきシヅ)み」(出典:太平記(14C後)二)
  4. 陽気になったり、しおれたりすること。また、表情表現に起伏があること。
    1. [初出の実例]「序破急のくらゐ、うきしづみ、乙甲(をっかん)けやけからぬやうに心をつくべし」(出典:歌謡・松の葉(1703)歌音声)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「浮沈」の読み・字形・画数・意味

【浮沈】ふちん

浮き沈みする。〔淮南子、要略〕故にを言ひて事を言はざれば、則ち以て世と沈すること無く、事を言ひてを言はざれば、則ち以て息すること無し。

字通「浮」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「浮沈」の解説

浮沈

池波正太郎時代小説。1989年刊行。「剣客商売」シリーズ最終巻。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android