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独創性 ドクソウセイ

デジタル大辞泉の解説

どくそう‐せい〔ドクサウ‐〕【独創性】

独自の考えで物事をつくり出す能力。また、新しい物事がもつそのような性質。「独創性のある作品」

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大辞林 第三版の解説

どくそうせい【独創性】

他人をまねることなく、独自の考えで物事をつくり出す性質・能力。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

独創性
どくそうせい
originality英語
originalitフランス語
Originalittドイツ語

主として芸術作品について、傑出したものの基準の一つとされる概念で、芸術家の並はずれた創作力が作品のうちに記す新しい、類例のない、個性的な性格をいう。現代では「新しさ」が文化の一般的価値基準となり、芸術やその周辺現象はもとより、倫理、宗教、思想、政治においてさえ、新しいものが追い求められる傾向がある。この傾向にあわせて、創(つく)り手の側も「違いを出す」ことに汲々(きゅうきゅう)としている。
 ほとんど風俗化したこの文化現象の大もとに、独創性の概念があることは明らかである。だが、本来の独創性を新しさと混同してはなるまい。単に「他と違っているもの」を独創的とよぶことはできない。なぜなら、英語をはじめとして西欧語において独創性を意味する単語は、「源泉origineから湧(わ)き出したもの」を意味するからである。「源泉」が創造力をさすことはいうまでもない。独創性とは、作品に刻み込まれたこの源泉のしるしのことであり、新しさはその結果の一面にすぎない。そこから明らかなように、独創性は個人の創造力を重んずる近世思想と不可分の関係にある概念である。したがって、その歴史を考えるためには、ルネサンスから始めるのがよい。[佐々木健一]

ルネサンス

剽窃(ひょうせつ)をさげすみ、自らの力で作品を創ることを尊ぶ考えは、古代から存在した。しかし、個人の創造力をもっとも重要な価値基準とみる考えは、ルネサンスにおける個人主義とともに始まった、といってよい。中世を通して神は芸術家になぞらえられたが、ルネサンスに至ると、例えるものと例えられるものが逆転し、芸術家は「第二の神」として、その創造力が顕揚されるようになる。15世紀には、画家が作品に署名する習慣が確立し、ラファエッロは想ideaの力を強調する。そしてフランスの画家プーサンは、その創造力が、物質的財とは異なり、自己と切り離すことのできないものであり、どこへ行っても、その身一つについてくることを誇りとしている。そして、芸術家の個性の認識が始まったのもこの時期であり、それはやがて様式の概念として結晶するようになる。ルネサンスにおける芸術の地位向上は、人の構想の力、創造の力を重んずる思想と連動している。[佐々木健一]

18世紀

思想としてはルネサンスの時期にすでに顕著な高まりをみせていたとはいえ、独創性の概念そのものは18世紀のものである。フランス語のoriginalitは1699年の用例が確認されているが、英語のoriginalityが初めて現れるのは1742年のことにすぎない。そして、独創性の概念史において決定的な年と目されるのは1759年であり、これはイギリスの詩人E・ヤングの著書『独創的作品についての考察』Conjectures on Original Compositionが出版された年である。
 この著作はとくにドイツにおいて熱狂的に迎えられ、おりからのシュトゥルム・ウント・ドラングの運動と歩調をあわせ、美学の主要概念として定着するようになる。ヤングは、既成の作品、とくに古代の作品を単に写し取る模倣を斥(しりぞ)け、これに独創的作品を対置する。その独創性は植物的本性のものとしてとらえられており、植物が根から自然の栄養分を吸い上げて自己を形成してゆくように、自然に根ざした芸術家において初めて独創的な作品が創られるとする。「われわれはすべて生まれたときはオリジナルである。それが死ぬときにはみながコピーであるのはなぜなのか」という問いかけのなかに、ヤングの問題意識と、その確信とがうかがえる。彼は、その作者にしか創ることのできないような、その意味で比類のない作品に価値を置く。そして、自然の創造力はこの独創的作品を生み出す能力を秘めていると信じ、この力の発現を妨げているのは、社会的に確立した芸術教育が強制している古典の模倣であると考えているのである。したがって独創性の概念は、天才および個性の概念と深く結び付いている。いいかえればそれは、創造力において傑出した個人の、その創造力の特徴である。
 この時代のイギリスは、2人の天才を典型として考えていた。シェークスピアとニュートンである。とくに科学者の業績は比類のないことが客観的に明らかになるものであり、ルネサンス以後、進歩の概念を支えてきた。それがとくに創造主体の力と結び付けて考えられたとき、独創性の概念に結晶したのである。なお、このような超絶的な天才は学問や芸術において重んぜられるにしても、社会生活には適合しない。独創性は芸術において重んじられるとともに、生活のなかでは「風変わりなもの」として排斥されることになる。だが芸術においても、客観的な価値の存在に対する信頼を失うならば、真の独創性と単に「風変わりなもの」との差異を保つことはむずかしい。現代において独創性が風俗と化してしまっていることは、18世紀から進行してきた精神的価値の客観性に対する確信の喪失の結果にほかならない。[佐々木健一]
『佐々木健一著『近世美学の展望』(『講座美学I 美学の歴史』所収・1984・東京大学出版会)』

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