改訂新版 世界大百科事典 「イランイランノキ」の意味・わかりやすい解説
イランイランノキ
ylang-ylang
Cananga odorata(Lamk.)Hook.f.et Thoms.
バンレイシ科の熱帯常緑樹で,イランイランとはタガログ語で〈花の中の花〉という意味。40mに達する常緑高木。葉は互生し,長円形で長さ10~20cm。花は葉腋(ようえき)から束生し,強い芳香を放つ。萼・花弁は緑から黄緑色で3数性9枚。おしべとめしべは共に多数。果托に10個内外の柄を持つ果実がついて,集合果を構成する。
インドより東南アジアを経てオーストラリア北東部までの熱帯低地に分布する。熱帯各地で香料として用いられ,栽培される。ヨーロッパで1864年ころより流行した最も高価で有名なイランイラン香水は,この花を蒸留して作る。また,ヤシ油・キンコウボクの花と混合してマカッサル油が作られる。街路樹としてもよく用いられ,シンガポールの並木は特に有名である。学名のカナンガもアンボン島の現地名にもとづく。
執筆者:植田 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報