日本大百科全書(ニッポニカ) 「タガログ語」の意味・わかりやすい解説
タガログ語
たがろぐご
Tagalog
オーストロネシア語族西部語派に属するフィリピン諸語の一つ。マニラを中心としたルソン島中部、ミンドロ島低地の言語。母語率は全人口の約24%で第2位。公用語フィリピノPilipino語(理解率60%)の母体となった。スペイン語、英語からの借用語が多い。母音5、子音15のローマ字を用いるが、古くはインド系の文字を使用していた。アクセントは語末から2番目の音節にくることが多い。音節は子音+母音、子音+母音+子音が基本である。語構成には、接辞、重複が重要な働きをする。基本的な文構造は、動詞―目的語―主語。格標示にはang, ng, saの3クラス、動詞には不定、未然、完了、未完了の4相がある。Kumain ng isdâ ang batà(食べた―目的格―魚―主格―子供)「その子は魚を食べた」、Kinain ng isdâ ang batà「その子は魚が食べた」。動詞kainに割って入った接辞umとinは完了を表すとともに、umはangに導かれて主語になっている句が行為者であることを、またinはangに導かれて主語になっている句が対象物であることを示している。
[山田幸宏]