イロコイ同盟(読み)いろこいどうめい(英語表記)League of Iroquois

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イロコイ同盟」の意味・わかりやすい解説

イロコイ同盟
いろこいどうめい
League of Iroquois

北アメリカの五つの先住民集団(ニューヨーク北部のハドソン川とジェネシー川との間の地方に住んでいたモホーク、オナイダ、オナンダーガ、セネカ、ケユーガ)が、白人との接触以前の16世紀からアメリカ独立革命期までの間に結成していた政治的連合。18世紀前半にタスカローラが加入し6部族連合となった。

 伝説では、1570年ごろに英雄デカナワイダとハイウォサによって、部族集団間の平和のため結成されたといわれる。自治権をもつ各部族集団の協議会から代表として選ばれた50人の平時の長が、大協議会を構成した。それは年1回、ニューヨークのオナンダーガで開かれ、各部族の代表から提案された司法立法、軍事上の諸問題を討議し、全会一致方式で議決した。この同盟機能は、1701年から独立戦争期までの間、英仏両勢力の争いのなかで中立の立場を維持したときにもっともよく発揮された。また、この連合方式は、アメリカ合衆国憲法制定の際、連邦制度のモデルとされたとする説があるが、確証はない。なお、イロコイ同盟を研究した民族学者L・H・モルガン(モーガン)が著書『イロコイ同盟』(1851)や『古代社会』(1871)でその社会的な機能を明らかにし、マルクスエンゲルス学説影響を与えたことは有名である。

[富田虎男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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