日本大百科全書(ニッポニカ) 「インドマルアジ」の意味・わかりやすい解説
インドマルアジ
いんどまるあじ / 印度円鰺
Indian scad
[学] Decapterus russelli
硬骨魚綱スズキ目アジ科アジ亜科に属する海水魚。インド洋、西太平洋に分布するが、日本からは三重県、鹿児島県、沖縄本島、小笠原(おがさわら)諸島の海域からとれている。体はやや高くてわずかに側扁(そくへん)する。脂瞼(しけん)(目の周囲や表面を覆っている透明の膜)がよく発達する。上顎(じょうがく)の後端は目の前縁に達せず、その後端はくぼまない。上下両顎に細かい歯が1列に並ぶ。背びれは28~33軟条、臀(しり)びれは25~29軟条で、各ひれの後ろに1本の小離鰭(しょうりき)がある。胸びれは頭長よりわずかに短く、第2背びれの起部下に達する。頭の背縁の鱗(うろこ)は瞳孔(どうこう)の中央に達しない。稜鱗(りょうりん)(鋭い突起を備えた肥大した鱗。一般には「ぜんご」「ぜいご」ともいう)は側線の全直走部を覆う。体の背側面は緑青色で、腹面は銀白色。鰓蓋(さいがい)の上縁に小さい黒斑(こくはん)がある。背ひれと臀びれは緑黄色、尾びれは淡色で、先端は赤みを帯びることがある。胸びれと腹びれは淡色。水深100メートル以浅の中・下層に生息し、おもに浮遊性の無脊椎(むせきつい)動物を捕食する。最大体長は30センチメートルほどになる。巻網、敷網、定置網、トロール網などで漁獲される。
本種はムロアジ属に属する。同属のマルアジによく似ることから、同種とする研究者もいる。魚類研究者の具志堅宗弘(ぐしけんそうこう)(1926―2018)は頭部背面の鱗の分布状態によって両種を区別(1983)した。
[尼岡邦夫 2024年6月18日]