マルアジ(読み)まるあじ(その他表記)round scad

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルアジ」の意味・わかりやすい解説

マルアジ
まるあじ / 円鰺
round scad
Japanese scad
[学] Decapterus maruadsi

硬骨魚綱スズキ目アジ科アジ亜科に属する海水魚。北海道南部以南の日本各地の沿岸、小笠原(おがさわら)諸島海域、沖縄、台湾など東シナ海、南シナ海などに分布する。山口県や九州ではアオアジという。体高がやや高くてわずかに側扁(そくへん)し、体長の23.5%以上ある。脂瞼(しけん)(目の周囲や表面を覆っている透明の膜)が発達する。胸びれの長さは頭長に等しく、第2背びれの起部下に達する。頭の背縁の鱗(うろこ)は瞳孔(どうこう)の前縁付近に達する。背びれ軟条数は30~34本、臀(しり)びれ軟条数は25~30本で、各ひれの後ろに1本の小離鰭(しょうりき)がある。体の背側面は緑青色、腹面は銀白色で、ひれは淡黄色。沿岸水の影響の強い水域に好んで生息し、おもにオキアミ類、コペポーダ類、甲殻類の幼生を捕食するが、稚仔魚(ちしぎょ)や小形の魚類も食べる。産卵は九州西岸域では7~8月に水深10~30メートルの沿岸域や、ときには内湾に来遊して行われる。卵径は0.66~0.72ミリメートル、分離浮性卵。1年で体長約15センチメートル、2年で19センチメートル、3年で21センチメートル、4年で23センチメートルほどに成長する。最大体長は30センチメートルほどに達し、大形のものはオオアジともよばれる。巻網、敷網、定置網、釣りなどで漁獲される。マアジより価格は安い。鮮魚、塩干品などとして利用する。

 外見上はマアジに類似しているが、マルアジには背びれと臀びれに小離鰭があること、稜鱗(りょうりん)(鋭い突起を備えた肥大した鱗。一般には「ぜんご」「ぜいご」ともいう)が側線の直走部だけにあること、稜鱗の最大のものの高さは眼径に等しく、胸びれの長さは頭長に等しいこと、体の背側面はより緑色を帯びることなどの点でマアジと容易に区別できる。また、体形では同じムロアジ属のアカアジに似るが、生鮮魚ではアカアジの各ひれが赤色であるので混同することはなく、退色したときにはアカアジはマルアジより臀びれ軟条数が少なく、20~24本であることで区別できる。

鈴木 清・尼岡邦夫 2023年11月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「マルアジ」の解説

マルアジ

 [Decapterus maruadsi].スズキ目アジ科ムロアジ属の海産魚.ムロアジの一種.40cmになる.食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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