六訂版 家庭医学大全科 の解説
インフルエンザウイルス肺炎
インフルエンザウイルスはいえん
Influenza vival pneumonia
(呼吸器の病気)
どんな病気か
インフルエンザは学童期に罹患率が高く、それが家庭内で成人や高齢者に感染して一般社会へ拡散します。逆に、高齢者は罹患率が低いものの死亡率が高いのが特徴で、死亡する人のほとんどを高齢者が占める傾向があります。
インフルエンザの大流行時では、非流行時に比べ死亡数が著しく増加する傾向があり、この超過死亡数の約90%、入院者数の半数は高齢者で、その主な原因は肺炎合併のためと考えられています。 高齢者で最も頻繁にみられる病型は二次性細菌性肺炎で、純インフルエンザ肺炎は少ないとされています。
症状の現れ方
純ウイルス性肺炎は、発熱などのインフルエンザ症状の出現後1~2日のうちに呼吸困難が起こり、急速に低酸素血症が進行して死亡することも少なくありません。一方、細菌感染を合併した肺炎は、しばしば普通の細菌性肺炎と鑑別が困難な臨床像を示します。インフルエンザ症状の軽快後に再発熱を来し、さまざまな呼吸器症状が現れることもあります。
治療の方法
抗インフルエンザ薬としては、アマンタジンがA型インフルエンザに、ノイラミニダーゼ阻害薬であるザナミビル(リレンザ)とオセルタミビル(タミフル)は、A型、B型の両者に保険適応となっています。発症から48時間以内に投与を開始すれば効果が期待できます。2008年以降、タミフル耐性のA型インフルエンザ(H1N1)株が著しく増加しており問題となっています。
インフルエンザ対策では予防が最も重要で、ワクチン接種が推奨されています(表6)。とくに高齢者を中心としたハイリスク群には2001年以降、国から公的補助が与えられています。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報