六訂版 家庭医学大全科 「ウイルス感染症の予防」の解説
ウイルス感染症の予防
(子どもの病気)
ウイルスは大変小さな病原微生物で、他人の細胞がなければ自分の子孫をつくれません。一方、細菌は栄養分があれば他人の細胞がなくても子孫をつくれます。身近なところでは
ウイルス感染症が成立するには、ウイルスに免疫のないヒト(感受性者)、ウイルスを排出するヒト(ウイルス病にかかっているヒト)、ウイルスが侵入する経路(感染経路)の3つが重要で、ウイルス感染症成立の3要素といいます。したがってウイルス感染症を予防するには、この3要素に対処しなければなりません。
身近なウイルス感染症にかからないようにする最も確実で現実的な方法は感受性者対策で、人工的に免疫をつくること、すなわちワクチン接種です。ウイルスワクチンには生ワクチンと
現在使われているものとしては麻疹、風疹、ポリオ、水痘、おたふくかぜのワクチンがこれに該当します。特徴として、ワクチンウイルスが体のなかで増殖するため、自然にかかった場合に近い免疫がつくられることがあげられます。そのために免疫が長く続くことも特徴です。
一方、不活化ワクチンには、インフルエンザ、B型肝炎、A型肝炎などがあります。このワクチンには生きたウイルスは含まれていません。ウイルスは殺された状態(不活化)のため増殖ができないので、免疫をつくるためには何回も接種しなければなりません。生ワクチンも不活化ワクチンも規定どおり接種を受ければ十分な免疫ができます。また問題になる副作用もありません。
定められた期間に接種を受けるもの(定期接種)と、定められてないもの(任意接種)がありますが、いずれも早めに接種を受けることが上手な受け方になります。小児科医に相談されるのがよいでしょう。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報