A型肝炎(読み)エーガタカンエン(その他表記)Hepatitis A

デジタル大辞泉 「A型肝炎」の意味・読み・例文・類語

エーがた‐かんえん【A型肝炎】

ウイルス性肝炎の一。A型肝炎ウイルスHAV)が経口感染し、発熱倦怠感吐き気下痢などが起こり、やがて黄疸おうだんが現れる。感染力が強く、しばしば流行的に発生感染症法の4類感染症に指定されている。→流行性肝炎

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精選版 日本国語大辞典 「A型肝炎」の意味・読み・例文・類語

エーがた‐かんえん【A型肝炎】

  1. 〘 名詞 〙 ウイルス肝炎の一つ。経口感染し、発熱・倦怠感・吐き気・下痢などが起こり、やがて黄疸が現われる。しばしば流行的に発生。流行性肝炎。

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家庭医学館 「A型肝炎」の解説

えーがたかんえん【A型肝炎 Hepatitis A】

[どんな病気か]
 A型肝炎ウイルスが感染しておこる肝炎です。子どもの場合はおとなに比べて症状が軽い傾向がみられます。
 A型肝炎ウイルスは便に排出されるため、患者の便が感染源になります。便中のウイルスが水に入り、汚染された水を飲んだり、貝や魚を生(なま)で食べて感染します。また、ウイルスが便から手→口へと運ばれたり、便から手→食物→口の経路で人から人へと伝達されて感染が広がります。世界中どこにでもありますが、衛生状態が悪く人口密度が高いところに多くみられます。
[症状]
 感染すると、約4週間で症状が出ます。前駆(ぜんく)症状は発熱、吐(は)き気(け)、嘔吐(おうと)、腹部の不快感で、突然出現します。また、おとなでは便秘が多いとされていますが、子どもの場合は下痢(げり)がみられることがあります。5歳以下の子どもでは軽いことが多く、気づかれないことも少なくありません。
 前駆症状の後、黄疸(おうだん)が生じ、色の濃い尿が出ますが、子どもの場合は黄疸が軽度のため、血液検査をしないとわからないことがあります。
 症状は約1か月で消え、ほとんどの場合、完全に治り、慢性化もしません。
[検査と診断]
 症状の確認とともに、周囲に同じ症状の人がいないか、また海外旅行の有無などの情報が診断に有用です。
 血液検査を行なうと、黄疸、肝機能の異常が認められます。また、症状がで始めたころの血液中にA型肝炎ウイルスに対する抗体(こうたい)(IgM抗体)が確認できれば確実に診断がつきます。
[治療]
 A型肝炎の多くは自然治癒(しぜんちゆ)するため、症状に合わせた補助的な治療が行なわれます。高度な肝機能異常や食欲不振など症状が強い場合は入院します。安静にして輸液療法、食事療法、薬物療法が行なわれます。
[予防]
 口からウイルスが入り感染が広がるため、手をよく洗うことが基本的かつ重要な予防法です。
 家族など感染の危険性が高い人にはガンマ‐グロブリン製剤を筋肉注射して感染を防ぎます。長期的な感染予防にはA型肝炎ワクチンを接種します。

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百科事典マイペディア 「A型肝炎」の意味・わかりやすい解説

A型肝炎【エーがたかんえん】

A型肝炎ウイルスによる疾患で,かつては流行性肝炎または伝染性肝炎と呼ばれた。潜伏期は2〜6週。経口感染し,上気道炎,全身倦怠(けんたい)感,吐き気,嘔吐(おうと)で始まり黄疸(おうだん)を発する。肝は腫大し軽度の圧痛がある。治療は対症的で安静,食事療法,ブドウ糖・ビタミン輸液等。大部分は2〜6ヵ月で治癒し,慢性肝炎に移行しないが,1%前後は劇症(げきしょう)肝炎を起こすので初期治療が重要である。免疫グロブリン製剤による予防が可能。
→関連項目肝炎肝炎ワクチンC型肝炎B型肝炎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「A型肝炎」の意味・わかりやすい解説

A型肝炎
エーがたかんえん

かつて流行性肝炎といわれた経口感染型の肝炎。 40歳以上の人はほぼ抗体を持っていると考えられ,30歳以下の人が,衛生状態があまりよくない諸外国で生水を飲んだりして感染することがある。免疫グロブリンには,A型肝炎に対する抗体が含まれているので,これを 3ccあるいは 5cc投与すれば3ヵ月以上の予防効果がある。A型肝炎は,劇症肝炎にいたったときを除けば,安静にして栄養補給を行なえば全快する。

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改訂新版 世界大百科事典 「A型肝炎」の意味・わかりやすい解説

A型肝炎 (エーがたかんえん)

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世界大百科事典(旧版)内のA型肝炎の言及

【肝炎】より

…肝炎の感染形式には,流行によるもの,輸血によるもの,散発的なものがある。流行性肝炎はA型肝炎のみにみられ,輸血後肝炎(いわゆる血清肝炎)にはA型肝炎はなく,B型肝炎が10%,残りの80~90%がC型肝炎である。散発性肝炎は,A型が約20%,B型が約20%,残りがC型である。…

【肝機能検査】より

…HAウイルスは食物を介して感染し,肝炎流行の原因となる。この肝炎(A型肝炎)は慢性化することはなく,黄疸が出るころには通常ウイルスは糞中にみつからないけれども,血清中のHA抗体価が上昇してくるので診断できる。HBウイルスは血液を介して感染する(B型肝炎)。…

※「A型肝炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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