ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィレム5世」の意味・わかりやすい解説
ウィレム5世
ウィレムごせい
Willem V
[没]1806.4.9. ブルンスウィック
オランダ (ネーデルラント) 連邦共和国総督 (在任 1751~85,87~95) 。オランニェ=ナッサウ公。父ウィレム4世の没後3歳でその地位を継いだが,母のアンナ,次いでルートウィヒ・エルンストが摂政をつとめ,1766年から親政時代に入った。 1756年七年戦争が始ると,オランダはこれに巻込まれることを警戒して中立を守り,アメリカ独立戦争に際しても,当初は中立的貿易によって巨利を得たが,イギリスの干渉にあい,80年ロシアの提唱する武装中立同盟に参加してイギリスと開戦した。しかし優勢なイギリス海軍によってオランダの海上貿易は封鎖され,国内にはオランニェ党と議会派の激しい闘争があり,混乱に陥った。ウィレム5世は,失政を問われ,議会派によって追放された。 87年義兄のプロシア王フリードリヒ・ウィルヘルム2世の援助で復位したが,94年フランス革命軍が侵入してアムステルダムを占領したため,家族とともにイギリスに亡命した。
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