化学辞典 第2版 「ウィーン効果」の解説
ウィーン効果
ウィーンコウカ
Wien effect
104~105 V cm-1 程度の強電場下で電解質溶液の電気伝導率がオームの法則に従わず,電場の強さの増大とともに増加する現象.1927年M. Wienにより見いだされたのでこの名称がある.ウィーン効果は電解質の電価が高いほど,また,濃度が濃いほど顕著であり,電場の強さが大きくなるにつれて,当量電気伝導率がある最大値(無限希釈溶液の示す極限値)に収れんする傾向を示す.ウィーン効果の原因としては,強電解質溶液の場合には,高電場下ではイオンの移動速度が数 m s-1 にも達し,このような高速の移動に対してはイオン雰囲気の形成がイオンの動きに追従できず,緩和効果(非対称効果)および電気泳動効果が消失することである.また,弱電解質の場合には,L. Onsager(オンサガー)が理論的に予測したように,高電場下において弱電解質の一時的なイオン化が起こることによると考えられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報