ウェルハウゼン(その他表記)Wellhausen, Julius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルハウゼン」の意味・わかりやすい解説

ウェルハウゼン
Wellhausen, Julius

[生]1844.5.17. ウェストファリア
[没]1918.1.7?
ドイツオリエントおよび旧約聖書学者。ハメルンのルター派牧師の子として生れる。ゲッティンゲンで学んだのち,グライバルトで神学教授。以後オリエント研究に方向を転じ,ハレゲッティンゲン大学などで教える。 19世紀のモーセ五書の批判的研究の結果をまとめ,かつそれを基礎に古代イスラエル史に新しい視野を開いた。福音書およびイスラエル初期の伝承についての研究にもすぐれたものがある。著書には,『サムエル記』の原典を考察した"Der Text der Bücher Samuelis" (1871) をはじめ"Die Pharisaeer und die Sadducaeer" (74) ,"Die Composition des Hexateuchs" (85) などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ウェルハウゼン」の意味・わかりやすい解説

ウェルハウゼン
Julius Wellhausen
生没年:1844-1918

ドイツの聖書学者,オリエント学者。諸大学で教えた後,母校ゲッティンゲン大学の教授を務めた(1892-1913)。今日の批判的旧約学の基礎のひとつとなった五書資料説を確立し,それを根拠として新約時代に至るまでのイスラエル民族史を書き改め,福音書の研究では,非メシア的な〈神の国〉の告知者としてのイエス像を取り出し,そのキリスト化の過程を指摘した。イスラム学分野でも業績をあげた。著書《イスラエル史序説》(1883)など多数。
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世界大百科事典(旧版)内のウェルハウゼンの言及

【聖書学】より

…神学は,以上の成果を基に思想の系統的叙述を行う。19世紀末,ウェルハウゼンは,文献資料を発展史観によって並べかえてイスラエル宗教史として再構成し,旧約学の祖となったが,そのころから数多く発見された資料に照らし,環境世界と旧約聖書との有機的把握を主張した宗教史学派(代表H.グンケル)が20世紀初頭より主流を成した。M.ウェーバーの《古代ユダヤ教》は社会学的構造連関を明らかにし,ラートGerhard von Rad(1901‐71)の《旧約聖書神学》と《イスラエルの知恵》は,イスラエル的思考の特質をまとめ,その後の学的討論の踏台を成した。…

※「ウェルハウゼン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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