改訂新版 世界大百科事典 「ウチワフグ」の意味・わかりやすい解説
ウチワフグ
Triodon bursarius
フグ目ウチワフグ科の海水魚。相模湾以南,インド洋,東アフリカの熱帯域に分布。体はやや側扁し,小さい骨質の板状のうろこで覆われている。腹部は大きく垂下しており,その内部は袋になっているにもかかわらず,食道や胃と通じていないから,水や空気を取り入れて膨らますことはない。ウチワフグ(団扇河豚)の名はその形に由来する。歯は上あごに2枚,下あごに1枚あるがくっついてくちばし状になる。これもふつうのフグ類と著しく異なる点である。属名のTriodon(3枚の歯を意味するラテン語)もこの特徴による。体は褐色で,腹の垂下した部分の基部に1個の明りょうな黒色斑紋があり,淡青色の輪がこれを囲んでいる。全長は30cm程度になる。
執筆者:日比谷 京
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報