日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウッタル・プラデシュ」の意味・わかりやすい解説
ウッタル・プラデシュ
うったるぷらでしゅ
Uttar Pradesh
インド北部、ヒンドスタン平野に広がる州。州都はラクナウ。2000年にウッタランチャル州(現、ウッタラーカンド州)を分割。面積24万0928平方キロメートル、人口1億6605万2859(2001)、1億9981万2341(2011センサス)で、インドで最大の人口を擁する州である。面積も北海道を除く日本の面積にほぼ匹敵する。住民の大部分(82%)はヒンドゥー教徒である。ガンジス川の上・中流域に開けることから、古くからインドの農業生産の中心地であり文化の中枢を占めてきた。主要都市のワーラーナシやアラハバードはヒンドゥー教の聖地で、ワーラーナシには国立バナラス・ヒンドゥー大学がある。ムガル帝国時代の一時期、首都として栄えたアグラのアグラ城や、その近郊のタージ・マハルなど、インドの文化や政治にかかわるこの州の重要性を示している。ヒンドスタン平野は西へ行くにつれて降水量が減じ、一部に年1000ミリメートルをきる所もあるが、全般に灌漑(かんがい)による農業が古くから発達した。東部では米やキビ類が卓越し、西へ向かうにつれて、小麦、大麦など畑作物が増えていく。独立後、農地改革が進み、近代的な灌漑施設も順次整ってきたが、まだ生産性は低い。近代工業は総合工業都市カーンプル、ラクナウ、ワーラーナシなどで発達している。伝統工業もワーラーナシの絹織サリー、サハーランプル、チュナルなどの陶磁器、バドヒのじゅうたんなどが知られている。
[村上 誠]