ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルシヌス」の意味・わかりやすい解説
ウルシヌス
Ursinus
[没]385?以降
教皇ダマスス1世(在位 366~384)の対立教皇(在位 366~367)。366年9月,教皇リベリウス(在位 352~366)の死後,ローマの助祭だったウルシヌスとダマスス1世が同時に後継者に選出された。同年 9月,ウルシヌスを支持する一派がローマのバシリカ・ユリア(→バシリカ)に集結し,そこで教皇に登位したとされる。続く 10月にダマスス1世が登位すると,その支持者はウルシヌス派に戦闘を仕掛け流血の事態を招いた。ウルシヌスはガリアへ追放され,一度はローマに戻ったものの,扇動行為を理由に再びローマから追いやられた。378年のローマ教会会議は,ダマスス1世を正統な教皇と認める一方,ウルシヌスは否定されケルンに追放された。384年にダマスス1世が死んだ際も教皇座を求めたが,果たせなかった。2人の対立の核心は,正統性よりも野心であったとみられる。
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