ウルツ鉱型構造(読み)うるつこうがたこうぞう(英語表記)wurtzite structure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルツ鉱型構造」の意味・わかりやすい解説

ウルツ鉱型構造
うるつこうがたこうぞう
wurtzite structure

一般式AX(Aは陽性元素、Xは陰性元素)で示される化合物にみられる結晶構造の一型式。名称の由来は、主成分が硫化亜鉛ZnSである鉱物ウルツ鉱がこの構造をもつことによる。ウルツ鉱は繊維亜鉛鉱ともよばれ、硫化物イオンの六方最密構造の四面体空隙(くうげき)に亜鉛イオンが入る構造である。六方晶系で空間群P63mc,a=3.820Å,c=6.260Åの単位格子中に亜鉛イオン、硫化物イオン2個ずつが入る。硫化カドミウムCdS、酸化ベリリウムBeO、酸化亜鉛ZnO、ヨウ化銀AgIなどが同型である。硫化亜鉛には別に閃(せん)亜鉛鉱型とよばれる立方晶系のものもあるが、高温ではウルツ鉱型が安定であり、酸化ベリリウムのような酸化物がウルツ鉱型となることから、ウルツ鉱型のほうがよりイオン結合性の強い構造であると考えられている。

[岩本振武 2015年7月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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