化学辞典 第2版 「空間群」の解説
空間群
クウカングン
space group
結晶構造の対称要素の集合によってつくられる群を空間群といい,結晶中の原子配列の対称性を表すのに用いられる.空間群の要素は,空間格子の並進,回転,回反(反転・鏡映を含む),らせん軸の操作および映進とこれらの組合せで与えられる.これらの対称操作を結晶内の1点にほどこすことにより,その点と結晶学的同価な点が,三次元空間内に分布した規則構造をつくることができる.通常の意味の空間群は230種類あり,32の点群と14種類のブラベ格子の組合せによって得られる.単結晶によるX線回折強度の対称性と規則的な消滅則は空間群で決められるので,逆にX線回折写真の特徴そのほかから空間群を決定できる場合が多い.空間群の知識は回折法により結晶構造を研究するうえで不可欠であり,また結晶構造の記載にも必須のものである.なお,二次元中で考えた同様の群を平面群または面群とよび,結晶では17種類ある.個々の空間群の説明はInternational Tables for Crystallography,Vol.Aに完全な形でまとめられている.[別用語参照]シェーンフリースの記号,ヘルマン-モーガンの記号
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報