異種原子(読み)イシュゲンシ(その他表記)heteroatom

日本大百科全書(ニッポニカ) 「異種原子」の意味・わかりやすい解説

異種原子
いしゅげんし
heteroatom

通常の原子は、陽子、中性子、電子で構成されているが、それ以外の粒子を含んだ原子を異種原子という。エキゾチック原子(exotic atom)ともよばれる。たとえば、通常の水素原子は中心の陽子(プラス電荷)とその周りの電子(マイナスの電荷)という電気的に結合した系である。水素原子の場合に、中心の陽子を陽電子(プラスの電荷をもつ電子の反粒子)に置き換えた系を考えることができる。これはポジトロニウムとよばれ、陽電子と電子が互いに電気的に結合して回り合う原子のような系を構成している。異種原子は原子核物理学で使われる用語である。ただし水素原子において、反陽子と反電子(陽電子)の組合せは反原子(反粒子からなる原子)として考え、異種原子とは考えない。

[山本将史 2021年7月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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