日本大百科全書(ニッポニカ) 「エステル価」の意味・わかりやすい解説
エステル価
えすてるか
ester value
油脂、またはろうの成分、性状を表す指標の一つ。試料の油脂またはろう1グラムに含まれるエステルを完全にけん化するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数のことである。ここで、けん化とは油脂・ろうに含まれるエステル基を水酸化カリウムにより加水分解して、カルボン酸カリウム塩とアルコールに変える反応をいう。一般にけん化価と、油脂またはろう1グラムに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である酸価を別個に測定して、その差をエステル価とする。遊離脂肪酸を含まない油脂、ろうでは酸価は0となるので、けん化価とエステル価は一致する。エステル価をけん化価で除して100を乗じた値は試料中の中性脂肪の含有率(%)を表す。
[廣田 穰]