酸価(読み)さんか(その他表記)acid value

精選版 日本国語大辞典 「酸価」の意味・読み・例文・類語

さん‐か【酸価】

  1. 〘 名詞 〙 油脂および蝋(ろう)性質を表わす数の一つ。試料一グラム中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数。品質の良否、酸敗程度目安になる。

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改訂新版 世界大百科事典 「酸価」の意味・わかりやすい解説

酸価 (さんか)
acid value

油脂または蠟などの油脂類1g中に含まれる遊離脂肪酸およびその他の酸性物質を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数。酸価の測定には,油脂の酸価に応じた重量(1~10g)の油脂試料を精秤し,中性にしたベンゼンアルコール溶液(2:1)等に溶解し,フェノールフタレインなどを指示薬としてアルコール性水酸化カリウム溶液(1/10規定または1/2規定)で滴定する。濃色の試料では指示薬として2%アルカリブルー6Bを用いる。

 油脂類の主成分は脂肪酸エステルであり,新鮮な油脂は一般に低い酸価を示すが,貯蔵時に加水分解,酸化などを受けると遊離脂肪酸を生じて酸価が高くなる。つまり,酸価は油脂の種類には無関係に,その純度酸敗の程度,加水分解の程度が示され,酸価の低い油脂ほど新鮮であることを示す一つの品質基準である。食用油脂は酸価の低いことが要求され,たとえば日本農林規格では精製ダイズ油の酸価は0.2以下と定められている。酸価の高い油脂は脱酸精製するが,アルカリを用いて脱酸する場合のアルカリ量は酸価より計算される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酸価」の意味・わかりやすい解説

酸価
さんか
acid value

油脂1グラム中に含まれている遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。油脂試料をエチルエーテル‐エタノール混液(たとえば2対1)に溶かし、1%フェノールフタレイン溶液を指示薬として中和し算出する。酵素の作用による加水分解により、また自動酸化の結果として、遊離脂肪酸が生成してくる。自動酸化とは大気中の酸素分子による緩慢な酸化をいう。まずヒドロペルオキシド過酸化脂質)を生ずるが、ついで酸価も上昇する。新鮮な精製油の酸価は小である。酸価が大のものは品質が劣る。

[福住一雄]

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栄養・生化学辞典 「酸価」の解説

酸価

 油脂の性質を示す指標となる数値の一つ.油脂が,もともと,もしくは一部が加水分解して遊離脂肪酸を含んでいると,その酸がアルカリで中和されることから遊離脂肪酸の含量の指標となる.油脂1gに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの量をmgで表示し,脂肪酸の炭素数によって値を補正する.

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化学辞典 第2版 「酸価」の解説

酸価
サンカ
acid value

油脂類の1 g 中に含まれる遊離脂肪酸,または酸性物質を中和するのに要する水酸化カリウムの質量(mg)の値をいう.酸価は油脂類の品質基準の一つとして重要である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「酸価」の意味・わかりやすい解説

酸価【さんか】

油脂,蝋,潤滑油などに含まれる遊離脂肪酸の量を示す尺度で,試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で表す。食用油脂ではこの値が1以下であることが必要とされている。

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