改訂新版 世界大百科事典 「エティンガー」の意味・わかりやすい解説
エティンガー
Friedrich Christoph Oetinger
生没年:1702-82
ドイツ,シュワーベンの敬虔主義者。神学,オリエントの言語,哲学,数学,医学,化学など諸学を広く学ぶ。哲学の唯物論と観念論への分裂を,カバラ,錬金術,ベーメやヘルモントの自然神秘思想の伝統につながることにより克服しようとした。目には見えない霊的なものの現れとしての〈生命〉〈体〉〈感覚的なもの〉を神学の中心とする。〈生命〉を電気的なものと考え,自然科学の認識と神学を結びつけた。自然科学と宗教を一つにする〈普遍的学問〉による黄金時代の再来を願う。18世紀に輩出したカリスマ的人物と親しく交際,ドイツにスウェーデンボリを紹介した。万人のもつ〈コモン・センス〉を重視し,プラトンと並び孔子をも高く評価した。説教集を含む数多くの著作があり,ヘルダーリン,ヘーゲル,シェリングらに影響を与えた。
執筆者:中井 章子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報