スウェーデンボリ(読み)すうぇーでんぼり(英語表記)Emanuel Swedenborg

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウェーデンボリ」の意味・わかりやすい解説

スウェーデンボリ
Swedenborg, Emanuel

[生]1688.1.29. ストックホルム
[没]1772.3.29. ロンドン
スウェーデンの科学者,哲学者,神学者。初め自然科学を研究したが,55歳のとき,神の啓示を受けて科学的方法の限界を悟り,神霊者,神秘的神学者として活躍した。哲学的には,無限者を全被造物のうちなる不可分の力と生命とみなし,この無限者を神とした。また本性と位格における神の絶対的統一を主張し,三位一体を,唯一の神格における愛と知恵と活動性の統一と解することで,父と子と聖霊という3つの位格の統一としての伝統的教理を否定した。死後,1787年にロンドンで彼の教理に従う「新エルサレム教会」が設立され,また 1810年には「スウェーデンボリ協会」が設立された。最も有名な著作に『天界と地獄』 De coelo et ejus mirabilibus,et de inferno (1758) がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウェーデンボリ」の意味・わかりやすい解説

スウェーデンボリ
すうぇーでんぼり
Emanuel Swedenborg
(1688―1772)

スウェーデンボルクともいう。スウェーデンの神秘家。言語学、数学、自然科学を学び、鉱山官となる。優れた自然研究家で、大脳作用の意義を初めて明らかにした。心身問題を探究していたが宗教的危機に陥り、幻をみ、科学的方法が全実在を解明しえないことを悟る。栄職を捨て(1747)、視霊者として聖書の霊的研究に没頭霊魂の独立存在、死後存続を信じ、自ら天使や諸霊と語り、天界と地界の対応を踏まえて、霊界などについて詳しく記述した。彼の教えはキリスト教の伝統的教説と異なる点が多い。その影響はゲーテなどにみられる。カントの『視霊者の夢』(1766)は彼への批判である。

[常葉謙二 2015年11月17日]

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