エマルション紡糸(読み)エマルションボウシ

化学辞典 第2版 「エマルション紡糸」の解説

エマルション紡糸
エマルションボウシ
emulsion spinning

適当な溶剤がないとか,融解すると熱分解しやすい材料を紡糸する一方法.紡糸しにくい材料を紡糸しやすい材料(マトリックス物質)の溶液中にエマルション(乳濁液)として乳化分散させ,湿式または乾式紡糸に準拠して紡糸し,エマルション粒子を熱,溶剤などで連続化して繊維を形成させる.その際,マトリックス物質を除去する場合とそれを含めたままの場合とがある.前者ポリ(テトラクロロエチレン)の繊維をつくる場合であり,原料のポリ(テトラクロロエチレン)の微細粉を水に懸濁させ,ビスコースアルギン酸ナトリウムなどをマトリックスとして紡糸液とし,マトリックス物質の凝固する凝固浴中に押出し,糸をつくり,これを320~400 ℃ に加熱して,マトリックス物質を除去するとともに,ポリ(テトラクロロエチレン)粒子を融着させ,熱延伸して繊維とする.後者にはポリクラール繊維がある.これは塩化ビニルポリ(ビニルアルコール)水溶液中で乳化重合し,ポリ(塩化ビニル)エマルションをつくる.このとき,一部はポリ(ビニルアルコール)とグラフト共重合物を形成する.これをポリ(ビニルアルコール)の湿式紡糸に準じて糸とし,マトリックス物質であるポリ(ビニルアルコール)は除かず製品とする.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android