〈オップ〉とは〈光学的〉あるいは〈視覚的〉を意味するopticないしopticalに由来する。1965年ニューヨーク近代美術館における〈応答する眼The Responsive Eye〉展(サイツW.G.Seitz企画)以降,〈ポップ・アート〉になぞらえて使われるようになった語。広くみれば構成主義や幾何学的抽象絵画の流れの延長上に位置づけられるが,アルバースやバザレリーを先達として1960年代に現れた動向を指す。色彩や形体といった絵画の要素の対比,重層化などさまざまな構成によって,観客の視覚に変容を起こさせようとするもの。描画は厳密で機械的であることを要求されるため,最新の画材や機材(たとえばアルミニウム,有機ガラス,ネオンなど)を用いることも多い。個々の作家によってスタイルは異なるが,プーンズLarry Poons,アガムYaacov Agam,ソトJesus Rafael Soto,ライリーBridget Riley(1931- ),アニュシケビッチRichard Anuskiewicz,桑山忠明(1932- )らが代表作家である。〈応答する眼〉展が最も重要な展覧会となった。オップ・アートの作品の与える動きは純粋に視覚的な錯覚だが,動きに対する関心がキネティック・アートにつながり,またその〈冷たい抽象〉の側面においてカラー・フィールド・ペインティングやミニマル・アートともつながってゆく。
執筆者:千葉 成夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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