日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニドコロ」の意味・わかりやすい解説
オニドコロ
おにどころ / 鬼野老
[学] Dioscorea tokoro Makino
ヤマノイモ科(APG分類:ヤマノイモ科)のつる性多年草。単にトコロともいう。根茎は横に伸び、やや肥厚するが硬い。根はヤマノイモと異なって肥大しない。葉は互生、葉身は心臓形で全縁、長さ5~12センチメートル、幅5~10センチメートル。花期は7~8月。花は単性で雌雄異株。雄花序は直立、雄花は短柄をつけ、6本の雄しべがある。雌花序は下垂し、雌花は無柄、蒴果(さくか)は3枚の翼からなり、3室。1室に2個の種子がある。日本特産で、原野や林縁に普通に生え、北海道から九州にかけて分布する。ひげ根が多く、曲がった根茎を老人にたとえて野老(やろう)とよび、正月には橙(だいだい)、昆布、串柿(くしがき)などとともに飾って長寿を祝った。野老は海老(えび)に対比させたものといわれる。東北地方では若い根茎をよくあく抜きして食べる。
ヤマノイモ属の日本の野生種には、ほかにヤマノイモ、ニガカシュウ、タチドコロ、ウチワドコロなどがある。
[清水建美 2018年10月19日]