改訂新版 世界大百科事典 「オブルチェフ」の意味・わかりやすい解説
オブルチェフ
Vladimir Afanas'evich Obruchev
生没年:1863-1956
ソ連邦の地質学者,地理学者。ペテルブルグの鉱山大学卒業後,1919-21年トムスク工科大学教授,21-29年モスクワ鉱山学アカデミー教授。30年から永久凍土委員会委員長,39年ソ連邦科学アカデミー氷雪地学研究所長,42-46年同地質地理学部長,47年ソ連邦地理学会名誉会長となる。オブルチェフはシベリアや中央アジアの地質構造研究者で,1886年から90年代にかけてシベリア鉄道の建設計画に参加したときから研究を続け,1935-38年《シベリアの地質》3巻,31-59年《シベリアの地質調査史》5巻にまとめている。そのほか,中央アジアの黄土の起源,シベリアの鉱物資源調査,E.ジュースの地体構造論に寄与したシベリア地質構造研究など,その研究は広範である。また,SF作家としても著名で,《フルトニア》(1924),《サンニコフの土地》(1926),《砂漠の金鉱探し》(1928),《中央アジアの原野にて》(1951)などの作品がある。なお1938年シベリア地質学の優れた研究のためにオブルチェフ記念賞が設けられている。子のセルゲイ(1891-1965)も地質学者として著名。
執筆者:石山 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報