おぼろけ(読み)オボロケ

デジタル大辞泉 「おぼろけ」の意味・読み・例文・類語

おぼろ‐け

[形動ナリ]
多く、あとに否定表現を伴って用いる)程度が普通であるさま。通り一遍であるさま。
「歌詠むと知りたる人の―ならざらむは」〈能因本枕・九四〉
(あとに否定表現を伴わないで、または、二重否定の表現を伴って用いる)程度が普通でないさま。並々でないさま。
「―に忍ぶるにあまるほどを、慰むるぞや」〈胡蝶
[補説]「おおろか(おほろか)」の音変化という。後世おぼろ(朧)」と混同して「おぼろげ」の形を生じた。

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精選版 日本国語大辞典 「おぼろけ」の意味・読み・例文・類語

おぼろ‐け

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 後世「おぼろげ」とも )
  2. ( 多くは下に打消、反語などの否定的表現を伴う ) わずかであるさま。また、並々であるさま。通り一遍であるさま。いい加減であるさま。
    1. [初出の実例]「おぼろけの蜑(あま)やは潜(かづ)く伊勢の海の浪高き浦におふる見るめは〈伊勢〉」(出典後撰和歌集(951‐953頃)恋五・八九二)
    2. 「仏法三昧を聞く事少(ヲホロケ)因縁に非ず」(出典:私聚百因縁集(1257)一)
  3. ( 下に否定的表現を伴わなかったり、あるいは、二重否定の表現を伴ったりすると、の意が反転して ) ずいぶん多いさま。また、たいそうなさま。並々でないさま。格別であるさま。→おぼろけならず
    1. [初出の実例]「おぼろけの願によりてにやあらむ、風も吹かず、よき日出で来てこぎゆく」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二一日)
    2. 「かしこへ行きぬる人の帰ることなし。おぼろけの仏の御助ならでは、出づべきやうなし」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一三)

おぼろけの補助注記

和歌では「おぼろげ(朧気)」とかけて用いられることがあるために、後世両者を混同するようになった。

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