大分県中央部、速見郡(はやみぐん)にある町。別府湾に臨む。1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)豊岡(とよおか)町と藤原(ふじわら)、大神(おおが)、川崎(かわさき)の3村と合併、1956年南端(みなみはた)村の大部分を編入。町名は古代の荘(しょう)名による。JR日豊(にっぽう)本線と国道10号、213号が通じる。東九州自動車道の日出ジャンクションがあり、宇佐別府道路、大分空港道路に続く日出バイパスが通じる。西部は鹿鳴越(かなごえ)断層崖(がい)下の崖錐(がいすい)とこれに続く沖積地で、水田化が進み、一部は別府湾の眺望よく、住宅地区も開けている。東部の火山灰台地ではミカン、野菜を産する。日出は木下2万5000石の城下町で郡の中心。城跡海岸100~200メートル沖に湧(わ)く清水に育つシロシタガレイは美味で知られる。旧藩主の菩提寺(ぼだいじ)、松屋寺(しょうおくじ)にあるソテツは樹齢600年の国指定天然記念物。面積73.32平方キロメートル、人口2万7723(2020)。
[兼子俊一]
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大分県北東部,速見郡の町。人口2万8221(2010)。別府湾北岸に位置し,南西部は別府市に接する。北西部は山地,南部の沖積地では米,シチトウイ(七島藺)が作られ,その東に続く火山灰台地では野菜,ミカンなどを産する。中心地日出は大友宗麟の時代にポルトガルの商船が入港して繁栄し,江戸時代には木下氏の城下町となった。従来,農業主体の町であったが,1963年大分新産業都市区域に指定され臨海埋立工事が行われるなど工業化が進んでいる。JR日豊本線,国道10号,213号線が通じるので,別府市,大分市のベッドタウンとして人口は増加している。大分自動車道が通り,同道の速見支線は宇佐別府道路に接続する。海食崖上に日出城跡があり,崖下の海でとれるシロシタガレイ(城下鰈)は古来美味で知られ,フグ作りのさしみなどにして賞味される。町内には早水台(そうずだい)遺跡や帆足万里の墓があり,松屋寺の大ソテツは天然記念物に指定されている。
執筆者:萩原 毅
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… 関ヶ原の戦に呼応して旧領主大友吉統が捲土重来を期して,旧臣を糾合した速見郡石垣原(いしがきばる)の戦は,細川,黒田らの軍勢により大敗に終わり,ほかに西軍にくみした臼杵の太田,富来の筧,安岐の熊谷,府内の早川らが除封された。関ヶ原の戦後,府内に竹中,臼杵に稲葉貞通,海部郡佐伯に毛利,速見郡日出(ひじ)に木下延俊,玖珠郡森に来島(くるしま)長親が入部した。このうち,岡,臼杵,佐伯,日出,森の各藩は幕末に至るが,府内は,竹中氏の後,1634年(寛永11)からは日根野吉明が,58年(万治1)からは松平忠昭が城主となり,速見郡木付には,1632年からは小笠原忠知が,さらに45年(正保2)からは松平英親が領有して幕末に至る。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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