オートマチックトランスミッション(読み)おーとまちっくとらんすみっしょん(英語表記)automatic transmission

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オートマチックトランスミッション
おーとまちっくとらんすみっしょん
automatic transmission

自動車自動変速機。ごく一般的にトルコントルクコンバーター)、ノークラッチとよばれることもある。歯車式変速機は、いちいちクラッチを切って歯車を入れ換えなければならないので運転操作を複雑にしている。そのため、変速操作を自動化しようという試みがなされてきたが、今日のように完成された形式はアメリカのゼネラル・モーターズの技術陣によって考案され、まず1939年型のオールズモビル車に「ハイドラマティック」の商品名で注文装備された。

 もっとも一般的な形式は、流体性質を応用して回転速度と回転力を変換、伝達する油圧トルクコンバーターと、油圧により自動的に操作される2~4段の機械式変速機を組み合わせたものである。アクセルペダルの操作でエンジン回転を調節すれば、停止からスムーズに発進、最高速度までほとんどショックなしに自動的に加速する。初期のものは高価なわりに出力損失が大きく、加速力、燃料消費率ともに純機械式に劣っていた。しかしその後、変速段数を増やす、オーバードライブをつける、定速走行時にトルクコンバーターをロックアップするなどの改良が加えられ、著しく性能が向上している。さらに小型コンピュータで変速点をより精密に検出する電子制御自動変速機も現れた。1980年代に入ってから、CVT(continuously variable transmission)とよばれる基本的に機械式の無段自動変速機が見直され、改良が続けられ実用化された。CVTは流体を用いないので力の損失が小さく、またその形式からも前輪駆動の小型実用車に適しており、世界中の主要メーカーが採用している。また、CVTを改良したECVT(electro CVT)も実用化されている。都市交通の渋滞が激しさを加えつつある今日、自動変速機はますます普及する傾向にある。1981年度の時点でアメリカでの普及率は81.7%にも達していたが、小型車の多い日本ではようやく20%を超えたばかりであった。しかしその後日本でも急速に普及し、1991年(平成3)に74%、2000年には91.2%という高い普及率を示している(輸入車と軽乗用車を除く)。

[高島鎮雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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