翻訳|at
〈もう一つの技術alternative technology〉または〈適正技術appropriate technology〉の略語。いずれもシューマッハーE.F.Schumacherによって提唱された〈中間技術intermediate technology〉の概念をもとに,近代科学技術体系の代替として提唱されている技術体系。中間技術,適正技術,もう一つの技術は,それぞれ主張者によりニュアンスの違いがあるが,おおまかには,近代科学技術がもたらすさまざまなマイナス面を最小限に抑えるために,対象地域(発展途上国等)の労働力,資源,市場,気候,文化等に最も適合するように改良し,適用しようとする考え方。中間技術は,1965年にシューマッハーによって主として発展途上国に適した技術体系として提唱され,以後多くの研究者によりしだいにその概念が広げられ,発展途上国等で地域の特性に応じて地域自立を達成しようとする技術体系の概念として,適正技術と呼ばれる考え方に発展していった。適正技術に関する研究,論議は70年代中ごろから活発となり,76年OECDにおいて,N.ジェキエにより研究,討論の成果がとりまとめられた。このレポートで適正技術の概念が,(1)地域の文化,経済との両立,(2)地域に賦存する資源・エネルギーの可能な限りの活用,依存,(3)環境・生態系の健全性確保,等として示されるとともに,発展途上国での開発,技術移転のあり方が提唱された。一方,発展途上国の開発に適した技術というだけでなく,公害の激化,自然の破壊,資源の有限性認識の高まり,社会経済の巨大化のひずみ等を近代科学技術体系の行詰りととらえ,転換を求める概念として,もう一つの技術と呼ばれる考え方をはじめ,いくつかの技術体系が提唱されている。しかしこうした技術は,従来の経済比較では近代科学技術に劣るのが一般的であり,その適用については,種々の社会コスト等を含めた総合的な経済比較が必要とされている。中間技術,適正技術,もう一つの技術についての技術開発,普及活動は,アメリカ,イギリス,カナダ,フランスなど西欧先進国の民間団体による運動のほか,国際機関(世界銀行,国際労働機関,世界保健機関等)やアメリカ,ヨーロッパの先進国の政府,発展途上国の政府,大学等でも行われている。具体的技術課題としては有機農業,栽培漁業,再生可能エネルギー利用(風力,太陽,バイオマスなど)等が対象とされている。
執筆者:並木 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
…ATと略称する。広義には,天体運動に基づく時刻システムとしての天文時に対比する言葉で,原子振動に基づく物理的に一様な時刻システムの総称である。…
…複数の路線があって,それぞれが累積的発展のパターンを示すことがあってもよいし,また一つの社会で路線の切替えが行われてもかまわない。 〈もう一つの技術alternative technology〉(略称AT)の思想は,そのような見地に基づいて登場してきた。その提唱者によれば既成慣行の技術は,生態系を無視して大量生産を指向するものであり,それによって環境破壊や資源浪費がもたらされる。…
※「AT」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新