continuously variable transmissionの略。オランダのバン・ドールネH. Van Doorneが1957年に開発し、小型車用としてもっとも適当と評価されている自動変速機(オートマチックトランスミッション)。本来の語義は「連続無段変速機」だが、現時点ではバン・ドールネによる特定の方式の自動変速機をさす。従来の自動車に一般的に用いられてきたトルクコンバーター付き自動変速機は、出力の損失がある、大きくて重い、構造が複雑で高価だ、などのため、小型車には向いていない。そのため、1000cc以下では自動変速機を備えるものはほとんどなかったが、一方で1000cc級は世界的に大衆車の主力となりつつあり、小型車に向いた自動変速機の完成が望まれてきた。その要求にこたえるものとして、開発されたのがCVTである。バン・ドールネは、自ら経営していた大手トラック・メーカーのDAFから1958年に発売した小型の大衆向け乗用車のためにCVTを開発した。二つのプーリー(滑車)を1本のベルトで結び、駆動側のプーリーはエンジン回転の遠心力などにより有効径が小から大へ自動的かつ無段階に変化する。被駆動側プーリーはスプリングで径が大きく保たれているが、駆動側プーリーの径が大きくなると、ベルトの長さが一定なので引っ張られて径が小さくなる。これによって無段階の自動変速機が成り立つわけである。しかしDAFの小型乗用車に使われていたベルトは合成ゴム製のため伸びたり切れたりしやすく、一定以上の回転力の伝達には適さなかった。
その後DAFのトラック部門はアメリカ資本に、乗用車部門はスウェーデンのボルボ社に譲渡され、CVTはいったん使われなくなったが、バン・ドールネはバン・ドールネ・トランスミッシー社(VDT社)を設立してCVTの研究を続けてきた。その結果、腕時計の金属バンドを大きくじょうぶにしたような金属ベルトを完成、CVTはようやく実用の域に達した。
このCVTにいち早く興味を示したのは、往年のスクーター開発で同様のベルトによる遠心式自動変速機の経験をもつわが国の富士重工業(スバル)であった。同社はプーリーのコントロールに電子制御を加えるなど、VDT社との共同開発に独自の技術を加えてECVT(electro CTV)を完成、1987年に当時の1000cc級乗用車スバル・ジャスティに採用、実用化するとともに、イタリアのフィアット社にもシステムを供与している。2001年(平成13)現在国内では、富士重工業のほかにホンダ、三菱、日産、トヨタ、ダイハツの各社が採用している。応用範囲も660ccの軽自動車から1000cc級の小型車にとどまらず、1800cc~2000cc級にまで及んでいる。
[高島鎮雄]
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