トルクコンバーター(読み)とるくこんばーたー(英語表記)torque converter

翻訳|torque converter

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルクコンバーター」の意味・わかりやすい解説

トルクコンバーター
とるくこんばーたー
torque converter

液体(一般に油)を作動媒体として一つの軸から他の軸へ動力を伝達する装置流体変速装置ともいう。二軸間の速度比を無段階に変えることができる。ターボ型ポンプ羽根車、タービン羽根車および案内羽根(ステーター)から構成されている。

 ポンプ羽根車は入力軸(原動機軸)に、タービン羽根車は出力軸(負荷軸)に取り付けられ、ステーターは入力軸や出力軸とは無関係に、固定された枠に直接支持される。ポンプ羽根車によってトルク(回転力)を与えられた液体は、タービン羽根車の中を流れる間にトルクを与えてこれを回転させ、ステーターで方向を変えてポンプ羽根車に戻る。ステーターがトルクを増すので、そのトルクの大きさだけ入出力軸間にトルクの差を生ずる。すなわち、流体継手(つぎて)とは異なり、トルクコンバーターはトルクの変換を伴う変速装置である。

 負荷の変動に応じて出力軸の回転速度が自動的に変化し、その変化が原動機に影響しないという特徴をもつため、減速歯車などと組み合わせて、自動車などの自動変速機として広く用いられている。自動車用に用いた場合、原動機に過大な負荷がかからず運転はきわめて容易になるが、エンジンブレーキ効果は少ない。

池尾 茂]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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