俗謡。曲名は「お江戸日本橋七つ立ち」という東海道五十三次を歌った歌詞の歌い出しからとられた。1872年(明治5)ごろ流行したもので、全18節、品川、川崎、箱根など終点までの風俗を詠み込んでいる。オペラ『蝶々(ちょうちょう)夫人』にも取り入れられ、世界的に知られているメロディの原調は、江戸中期ごろ甲斐(かい)国(山梨県)の富士川沿岸で歌われていた盆踊り唄(うた)。それが箱根周辺の『はねだ節』となり、さらに「お前待ち待ち蚊帳(かや)の外、蚊に食われ、七つの鐘が鳴るまでも、コチャかまやせぬかませやぬ、コチャエ、コチャエ」の『コチャエ節』となり、その替え歌として全国的に流行した。
[小川乃倫子]