カバディ(読み)かばでぃ(英語表記)kabaddi

翻訳|kabaddi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバディ」の意味・わかりやすい解説

カバディ
かばでぃ
kabaddi

インドバングラデシュなど南アジア諸国で数千年の歴史をもつ伝統あるスポーツで、相手にタッチして得点を競うゲーム。その名のとおり「カバディ、カバディ……」と一息でいい続けながら攻撃する点が、大きな特徴の一つ。コートの大きさは男子13メートル×10メートル、女子12メートル×8メートルで、屋外グラウンド、屋内を問わないが、国際大会はマット上で行うことが多い。外側は長いほうがアウトサイドラインで、短いほうがエンドライン。このラインを越えるとアウトとなる。アウトサイドラインの内側1メートルにインサイドラインが引かれ、この両側1メートルの区域ロビーと称し、攻撃手(レイダー)と守備側(アンティ)の接触が起きると使用可能になるが、接触なしにインサイドラインを越えるとアウトとなる。中央にはミッドラインが引かれ、各チームはこのラインを挟んで陣地を分ける。ミッドラインから3.75メートル(女子3メートル)にボークラインが引かれ、レイダーはかならず1回はこのラインを越えなければならない。また、ミッドラインから4.75メートル(女子4メートル)にボーナスラインが引かれ、アンティが6人以上いるなかで、レイダーがこのラインを越えて中に入り、外に戻った場合は攻撃側に1点が入る。

 競技は、それぞれ7人の選手からなる2チームよって行われる。両チームは交互に1人のレイダーを守備側のコートに送る。レイダーは、アンティの身体または衣服にタッチして自陣のコートに戻れば、接触した人数分が得点となる。接触されたアンティは全員コートアウト。逆に、アンティがレイダーを捕まえて攻撃側コートに戻らせなかったら、守備チームが得点し、レイダーはコートアウトとなる。レイダーは相手コートに入るときから自陣のコートに戻るまでの間、息をつかずに「カバディ、カバディ……」といい続けなければならない。コートアウトした人は、味方チームが得点すると、得点分の人数だけコートに戻ることができる。チーム全員がコートアウトとなった場合は、相手に2点を加点した上で、全員がコートに復帰して試合を継続でき、これをローナと称する。試合時間は、男子が前後半各20分、女子が前後半各15分、休憩は男女とも5分。勝敗は、両チームの得点によって決まる。単純なゲームで道具はほとんど必要ないが、あるレベル以上になると攻撃、守備の駆け引きがあり、また、格闘技のような激しいぶつかり合いもある、奥の深いスポーツである。

 スポーツとしてのカバディは、1951年、インドを中心に統一したルールがつくられ、1978年、アジア・アマチュア・カバディ連盟(AAKF)が発足。1979年(昭和54)には日本にも伝えられ、1981年に日本カバディ協会が設立された。アジア競技大会では、1990年の北京(ペキン)大会以降、正式種目となっている。また2004年には国際カバディ連盟(IKF)が設立され、第1回ワールドカップが開催された。日本では、全日本選手権大会、東日本大会、西日本大会等が毎年開催されている。

[河合陽児]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カバディ」の意味・わかりやすい解説

カバディ
kabaddi

古代インドの兵法が起源といわれる格闘技と「鬼ごっこ」を合わせたような競技。ラインで二分された縦 12.5m,横 10mのコートを対戦する2チームの陣地とし,攻撃と防御を交互に繰り返す。1チーム7人で行なわれ,攻撃側は一人で敵陣に攻め込み,相手選手にタッチして自陣に戻れば得点となる。攻撃者 (レイダー) は攻撃中には1呼吸で「カバディ」を連呼しなければならず,攻撃途中で声が途切れ相手選手に取り押えられると失点となる。インドなどには1呼吸 40秒以上も連呼し続ける選手もいる。南アジア一帯で広く普及し,インドとバングラデシュでは国技となっている。 1990年に北京で開催された第 11回アジア競技大会で初めて正式種目に採用された。

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