カルロボ(読み)かるろぼ(その他表記)Karlovo

デジタル大辞泉 「カルロボ」の意味・読み・例文・類語

カルロボ(Karlovo/Карлово)

ブルガリア中部の都市バルカン山脈南麓、カルロボ盆地のストリャマ川沿いに位置する。バラの生産が盛んで、東のカザンラク盆地と合わせてバラの谷と呼ばれる。中世要塞が築かれ、オスマン帝国時代の16世紀から18世紀にかけて手工業発展。19世紀後半には民族文化復興の拠点となった。革命家バシル=レフスキ、辞書編纂者イバン=ボボロフの生地

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルロボ」の意味・わかりやすい解説

カルロボ
かるろぼ
Karlovo

ブルガリア中部、スタラ・プラニナ(バルカン山脈の南麓(なんろく)のカルロボ盆地にある都市。プロブディフの北約50キロメートルに位置する。人口7万0284(2001)。15世紀後半に町の基礎がつくられた。16世紀には皮革産業が勃興(ぼっこう)したが、18世紀に入ると山間部での牧羊を背景に毛織物業、組紐(くみひも)産業や精錬業などの手工業が栄えた。組紐産業ではほかの地域に先駆けて機械化が推進され、ブルガリア最大の中心地となった。また、バラ栽培とバラ油の生産も行われた。このような経済的繁栄によって、教会から独立した世俗の学校、チターリシテ(読書室)や教会が整備されてブルガリア民族文化の拠点となり、19世紀後半の民族独立運動の活動家であるレフスキ、近代ブルガリア語の対訳辞書を編纂(へんさん)したボゴロフIvan Andreev Bogorov(1820―92)などを輩出した。バラ栽培とバラ油生産は、現在も重要な産業で、カルロボ盆地は東に隣接するカザンラク盆地と合わせて「バラの谷」とよばれている。19世紀の民族復興期の多くの建築物が保存されており、博物館や記念館として利用されている。

[寺島憲治]

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