日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーアーニー」の意味・わかりやすい解説
カーアーニー
かーあーにー
abībullāh Fārsī Qā'ānī
(1808―1854)
ペルシアの詩人。詩人グルシャンの子としてシーラーズに生まれる。父を早く失うが、才能を認められ郷里やイスファハーンで学を修めた。カージャール朝の王子の知遇を受け、イラン各地を回り、1834年以降、同朝宮廷詩人となり、「桂冠(けいかん)詩人」の称号を受け、19世紀最大のペルシア詩人と目された。約2万3000句からなる『カーアーニー詩集』は頌詩(しょうし)と叙情詩に優れ、伝統的ペルシア詩の手法を最高度に駆使している。カーアーニー・スタイルとよぶ詩型を創案したことでも知られる。散文作品には世相を鋭くうがった逸話集『乱れの書』がある。
[黒柳恒男]