キグチ(読み)きぐち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キグチ」の意味・わかりやすい解説

キグチ
きぐち / 金石魚
[学] Pseudosciaena polyactis

硬骨魚綱スズキ目ニベ科に属する海水魚。キングチともいう。東シナ海黄海に分布する。体はやや長く、側扁(そくへん)する。体色は銀白色で、腹部黄金色を帯びる。全長は大きいもので35センチメートル。年齢は最高11年が確認されている。成長は1年で13センチメートル、2年で21センチメートル、3年で24センチメートルとなり、以後は停滞する。食性は肉食で、オキアミなどの甲殻類、小形魚類などを捕食する。プランクトンなど餌(えさ)生物が、昼間は深層にいて夜間は表層に浮上する動きに伴って、昼夜の周期的垂直移動を行う。産卵期は3~7月。大形魚は早く成熟し、小形魚の成熟は遅れる。産卵期には朝鮮半島や中国の沿岸大群が押し寄せ、群れが発するガーガーという鳴音は海岸や船上からでもよく聞こえるという。本種は、東シナ海、黄海で漁獲されるニベ類のなかでもっとも多く、その大半を占めるが、近年は乱獲により激減。塩焼き、てんぷらなどにもされるが、主として良質のかまぼこの原料となる。

[谷口順彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

一粒万倍日

一粒の種子をまけば万倍になって実るという意味から,種まき,貸付け,仕入れ,投資などを行えば利益が多いとされる日。正月は丑(うし),午(うま)の日,2月は寅(とら),酉(とり)の日というように月によって...

一粒万倍日の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android